2024年07月15日更新
犬と猫の尿路結石症について〜適切な水分補給で予防しよう〜
犬と猫において、尿路結石症は比較的よくみられる疾患です。尿路結石症は、尿路内(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結晶や石が形成されることで、犬や猫に痛みや不快感を引き起こす病気です。また、結石が尿路を塞ぐと、排尿が困難になり、感染症や腎不全、尿毒症を引き起こし、命に関わることもあります。
今回は、犬と猫の尿路結石症の原因や、症状、治療方法について詳しく解説します。
原因
尿路結石の発生にはさまざまな原因が関与しています。主な原因を以下に挙げて説明します。
・食事と水分摂取量
高ミネラルの食事、特にマグネシウムやカルシウムが多く含まれている場合、結晶が形成されやすくなります。また、十分な水分を摂取しないと尿が濃縮され、結晶が集まりやすくなります。
・病気や感染症
尿路感染症は尿のpHを変化させ、結晶の形成を促進することがあります。また、腎臓や肝臓の機能不全も尿中のミネラルバランスを崩し、結石を形成しやすくします。
他にも、肥満や運動不足も結石ができやすくなる原因の一つであるため、生活習慣にも注意しましょう。
尿路結石の種類
犬と猫でみられる代表的な尿路結石とその特徴は以下の通りです。
〈ストルバイト結石〉
・リン酸アンモニウムマグネシウムで構成される結石
・犬と猫の両方でみられるが、特に犬で多く発生する
・尿がアルカリ性であるときに形成されやすい
・比較的柔らかく、自然に排出されることもある
〈シュウ酸カルシウム結石〉
・シュウ酸カルシウムで構成される結石
・猫で多くみられるが、犬でも発生することがある
・尿が酸性であるときに形成されやすい
・硬く、自然に排出されることはまれである
症状
初期段階では、以下のような症状が見られることがあります。
・頻繁な排尿:短時間で何度もトイレに行く
・排尿時の不快感:トイレで長時間座り込むが、少量しか排尿しない
・血尿:尿に血が混じることがある
・元気消失:普段よりも活動的でなくなる
結石が大きくなると、症状はより顕著で深刻になります。
・強い痛み:お腹や腰のあたりを痛がる
・食欲不振:食事を取らなくなる
・嘔吐:食欲不振と共に嘔吐が見られることがある
・腫れや膨張:下腹部が腫れたり膨らんだりすることがある
尿路結石があっても無症状の場合もありますが、尿路が完全に塞がる尿路閉塞が起こると、尿が全く出なくなるため、体内の毒素が排出されず、尿毒症に至ることがあります。この状態になると、命に関わる緊急事態となり、早急な治療が必要です。
診断方法
尿路結石症の診断には、以下の検査が行われます。
・尿検査
尿量や尿色、尿比重、pH、尿蛋白、潜血、結晶、結石などを調べます。
・画像検査
レントゲン検査で体のどこに結石があるかを確認します。超音波検査では、結石の大きさや位置、膀胱の状態などをより詳しく調べることができます。
なお、当院では8月末まで「画像診断キャンペーン」を行っています。定期的な検査を受けることで、様々な病気の早期発見に繋がります。ぜひこの機会にキャンペーンを利用してみてはいかがでしょうか。
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・血液検査
腎機能や全身状態に異常がないかを調べるために、血液検査が行われる場合もあります。
治療方法
ストルバイト結石の場合、特定の食事療法や薬物療法で結石を溶解します。また、尿道が閉塞している場合や膀胱内の小さな結石に対しては、尿道にカテーテルを挿入して閉塞を解除したり、生理食塩水を用いて膀胱から結石を洗い流したりします。
一方で、食事療法でも溶解できない結石や、尿路閉塞がある場合には、手術が必要になることがあります。
結石を摘出できたとしても再発するケースが多く、術後も注意が必要です。
予防法やご家庭での注意点
尿路結石症の予防には、適切な水分補給が最も重要です。新鮮な水を常に飲める状態にしておき、愛犬や愛猫が十分な量の水を飲むようにしましょう。また、食事中の水分を増やすために、ドライフードではなく缶詰などのウェットフードや、ドライフードをお湯でふやかして提供することも効果的です。
また猫の場合、ストレスを減らすためにトイレ環境の工夫が必要です。猫の頭数プラス1台のトイレを用意し、清潔に保つことを意識しましょう。
さらに、尿路結石症は早期発見が重要です。普段から尿の状態をよく観察し、異常があれば早めに獣医師に相談してください。
まとめ
尿路結石は、犬や猫にとって痛みや不快感を伴う病気です。バランスの取れた食事、水分摂取の促進、定期的な健康診断、そして快適な排尿環境を提供することで、予防が可能です。また、尿路結石症は再発しやすい病気でもあるため、飼い主様として常に注意を払い、異常を感じたらすぐに動物病院を受診してください。
最後になりますが、
私たちが目指すのは、ただの「治療」ではありません。
あなたの大切な家族の一員である子供たち(愛犬、愛猫)が、健康で笑顔溢れる毎日を送るための「ケア」です。
人間医療の高い精度と専門性を動物医療に取り入れ、子供たち(愛犬、愛猫)にとって最良のケアを提供することをお約束します。
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