2025年01月19日更新
犬や猫の正しい歯のケア方法〜少しずつ慣らしていくことがポイント〜
犬や猫の歯の健康は、生活の質(QOL)に大きな影響を与えます。歯に異常があると食事が困難になるだけでなく、歯周病菌が全身に広がり、心臓病や腎臓病といった深刻な疾患を引き起こすリスクもあります。そのため、日頃から適切な歯のケアを行うことがとても重要です。しかし、歯磨きに慣れない愛犬や愛猫、飼い主様も多いのが現状です。
そこで今回は、犬や猫の歯のケア方法やポイントについて詳しく解説します。
■目次
1.なぜ歯のケアが必要なの?
2.歯磨きの前に準備するもの
3.基本的な歯磨きの手順
4.苦手なペットの場合
5.どうしてもできない時
6.その他の歯のケア方法
7.日常的なチェックポイント
8.まとめ
なぜ歯のケアが必要なの?
犬や猫は虫歯になることは少ないものの、非常に高い確率で歯周病を発症します。
そもそも歯周病とは、歯垢の中の細菌が歯茎に炎症を引き起こし、放置すると数日で硬い歯石に変化します。この歯石がさらにプラークを蓄積させ、炎症が悪化していきます。
また、それだけでなく、歯周病菌が血液中に入り込むと全身に菌がまわってしまうため、心臓病や腎不全といった深刻な疾患を招くこともあります。
そのため、早期から適切なケアを行うことで、これらの問題を未然に防ぐことができます。
歯周病について詳しくはこちらをご覧ください
歯磨きの前に準備するもの
歯磨きを始めるには、以下の道具を用意しましょう。
・ガーゼや歯磨きシート:歯ブラシを嫌がるペットに適しています。
・ペット用歯ブラシ:小型で柔らかいブラシが理想的です。
・ペット用歯磨き粉:人間用は使用せず、ペット専用のものを選びましょう。ガーゼを使う場合はジェルタイプを、歯ブラシを使う場合はペーストタイプがおすすめです。
道具を揃えるだけでなく、ペットが安心して歯磨きに慣れられるよう、落ち着いた環境を整えることも大切です。
基本的な歯磨きの手順
犬や猫の歯磨きは、時間をかけて慣れさせることが大切です。
1.慣れる練習
おやつやおもちゃで気を引きながら顔周りを撫で、さりげなく口の周りにタッチしてみましょう。少しでも上手にできたらたくさん褒め、徐々に触る時間を伸ばしていきます。
2.唇をめくる練習
唇をめくったり、指の腹で歯に触ったりする練習をしてみましょう。
3.ガーゼや歯磨きシートで磨く
ガーゼや歯磨きシートを指に巻いて、実際に歯を磨いていきます。まずは磨きやすい犬歯や前歯などを1本だけ磨き、徐々に本数を増やしていきます。慣れてきたら奥歯や歯の裏も磨いていきましょう。
4.歯ブラシを使う
歯ブラシのニオイを嗅がせたり、嗜好性の高いフレーバーの歯磨き粉をつけて舐めさせたりして、歯ブラシが「嫌なもの」ではないことを理解してもらいましょう。口の中に入れても嫌がらなくなったら、いよいよ最終ステップに進みます。
5.少しずつステップアップ
唇をめくって、歯ブラシを横向きに当てます。そのまま1本あたり10往復を目安に横方向に小刻みに動かし、優しく丁寧に磨いていきましょう。
歯磨きは、子犬や子猫の時期から始めるとスムーズに習慣化しやすいため、乳歯が生え始めたら少しずつ慣らしていくことをおすすめします。
一方で、シニア期には歯ぐきが弱っていることが多く、出血しやすかったり、口周りに触るだけで痛がる場合があります。そのような場合は、まず動物病院で適切な治療を受けてからケアを進めるようにしましょう。
苦手なペットの場合
歯磨きを嫌がる犬や猫に無理強いをすると、ストレスになりかえって逆効果です。絶対に無理強いはせず、「1本だけ」「1秒だけ」から始め、少しずつ慣らしていきましょう。
どうしてもできない時
動物病院では歯磨き教室や歯周病予防を目的とした歯石除去(スケーリング)、歯科検診などを行っています。そのため、プロに任せるのも一つの手です。
歯石除去(スケーリング)について詳しくはこちらをご覧ください
当院でもスケーリングや歯科検診をはじめ、ケア用品の相談や、デンタルケアアドバイザーの資格を有した当院の動物看護師による、わんちゃんを対象とした「歯みがき教室」も行っています。個別レッスンにも対応しておりますので、ご興味がございましたらぜひご相談ください。
詳細は「歯みがき教室の実施のお知らせ」をご覧ください
その他の歯のケア方法
歯磨き以外にも、デンタルトイやデンタルガムを使って楽しくケアする方法もおすすめです。おもちゃやガムを噛むことによって歯についた汚れを取る効果が期待できるので、ぜひ試してみてください。
その他にも、サプリメントを使えば、より手軽にオーラルケアをすることができます。
日常的なチェックポイント
ケアのついでに、歯や歯茎の状態を観察するクセをつけましょう。
歯の黄ばみや歯茎の腫れ、口臭が気になる場合は、歯周病の初期兆候である可能性があります。また、食欲不振や顔に触られるのを嫌がるといった行動も、歯のトラブルを示唆することがあります。こうしたサインが見られたら、すぐに動物病院に相談してください。
まとめ
ご自宅での歯のケアに加え、定期的に獣医師によるスケーリングや歯科検診を受けることで、愛犬・愛猫の口腔内の健康を守ることができます。
当院では歯科検診やスケーリングだけでなく、デンタルケア用品の相談も受け付けております。また、歯みがき教室(要予約)も開催しておりますので、何かお困りのことがあればお気軽にお問い合わせください。
最後になりますが、
私たちが目指すのは、ただの「治療」ではありません。
あなたの大切な家族の一員である子供たち(愛犬、愛猫)が、健康で笑顔溢れる毎日を送るための「ケア」です。
人間医療の高い精度と専門性を動物医療に取り入れ、子供たち(愛犬、愛猫)にとって最良のケアを提供することをお約束します。
当院の想いと設備について
何かお困りの点やご不明点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
大阪市平野区の動物病院「パピリーアニマルホスピタル」は年中無休、土日祝も診察。
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