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犬と猫の白内障について〜目が白く濁るのは年のせいではない!?〜

愛犬や愛猫の目が年を重ねるとともに白く濁ってきた場合、飼い主様は大変心配されるかと思います。

 

この現象は、白内障と呼ばれる目の疾患が原因かもしれません。白内障は視力に大きな影響を与え、ペットの生活の質を低下させる可能性があります。視覚が低下すると、日常の行動や活動に支障が出るため、早期発見と適切なケアが重要です。

 

今回は、犬と猫の白内障について、その症状や原因、治療法、そして予防策を詳しく解説します。

 

また、当院では特別な診療機会として、太田充治獣医師による眼科特別診療を24年10月13日(日)に実施いたします。完全予約制のため、早めのご予約をお願い致します。

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眼科特別外来のお知らせ
太田充治獣医師とは

 

■目次
1.白内障とは
2.症状
3.原因
4.診断
5.治療
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ

 

白内障とは


白内障とは、水晶体の透明度が失われ、白く濁ることで視覚障害を引き起こす病気です。

 

水晶体はカメラのレンズのように光を網膜に集める働きをしており、白内障が進行すると、この透明な水晶体が不透明になり、光が正しく通過できなくなります。その結果、視界がぼやけたり、最終的には失明に至ることもあります

 

犬では比較的よく見られる病気ですが、猫では発症がまれです。ただし、高齢の猫には白内障が見られることがあるため、注意が必要です。

 

症状


白内障の主な症状は、水晶体が白く濁ることです。初期段階では目立った症状がないことも多いですが、進行するにつれて以下のような症状が現れることがあります。

 

視力の低下:愛犬愛猫が物にぶつかりやすくなり、遊びや活動への興味が薄れることがあります。
夜間の視力低下:白内障は特に暗い場所や夜間での視力に影響を及ぼすため、犬や猫が不安になったり、家具にぶつかることが増えます。
目をこする:目に違和感を覚えるため、目をこする仕草をしたり、目を細めることがあります。
行動の変化:視力の低下に伴い、犬や猫が元気をなくしたり、歩行が不安定になることがあります。

 

原因


白内障の発症原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。主な原因は以下の通りです。

 

栄養不足・代謝異常
水晶体の栄養不足や代謝異常、浸透圧バランスの障害が白内障の発症に関連しています。

 

遺伝的要因
特に犬の場合、特定の犬種(トイプードル、ミニチュアピンシャー、ダックスフンド、アメリカンコッカースパニエルなど)で遺伝的に白内障が発生しやすいことが知られています。

 

加齢
高齢になると、タンパク質の変性により白内障が発症しやすくなります。人間と同じように加齢に伴う白内障が多く見られますが、犬の場合は若齢でも発症することがあり、6歳未満でも注意が必要です。

 

糖尿病
糖尿病を患っている犬では、高血糖が続くことで水晶体に異常が生じ、白内障が急速に進行することがあります。

 

外傷や炎症
目の外傷や目の炎症(ぶどう膜炎など)も白内障の原因になることがあります。

 

診断


白内障の診断は、獣医師による視診や眼底検査、眼圧測定などを通じて行われます。特に、加齢による核硬化症との鑑別が非常に重要です。核硬化症は白内障と似た症状を示しますが、水晶体の硬化が原因です。そのため、正確な診断には、水晶体の混濁や眼底の状態、視覚機能を詳しく確認する必要があります。

 

また、スリットランプ検査も、水晶体の詳細な状態を確認するために重要です。糖尿病が関連している場合は、血液検査も併せて行われることがあります。さらに、白内障に伴う合併症(緑内障やぶどう膜炎など)を早期に発見するため、より詳細な検査が必要になることもあります。

 

治療


白内障の治療は、症状の進行度によって異なります。初期段階では、白内障の進行を遅らせるために点眼薬や抗酸化作用のあるサプリメントが処方されることがあります。ただし、これらの治療法は進行を遅らせるためのものであり、根本的な治療にはなりません。

 

進行が見られる場合は、外科的治療が選択されます。手術では、白く濁った水晶体を取り除き、人工レンズを挿入する方法が一般的です。この手術により視力が回復する可能性が高くなりますが、ぶどう膜炎や緑内障、網膜剥離、水晶体脱臼といった合併症がすでに発生している場合は、手術後も視力の完全な回復が難しいことがあります。

 

予防法やご家庭での注意点


白内障を完全に防ぐことはできませんが、以下の対策で症状を軽減させることができます。

 

定期的な健康診断
特に高齢のペットや、遺伝的に白内障が発生しやすい犬種においては、目の異常を早期に発見できるよう、半年に一度は検診を受けましょう。

 

目の保護
目を傷つけないように安全な環境を整えることも大切です。目に外傷を負うことで白内障が発症するリスクもあるため、鋭利な物や危険な物がない場所で遊ばせるようにしましょう。また、強い日差しから目を守るため、日差しが強い日には散歩の時間帯を調整することも有効です。

 

糖尿病の管理
体重を適切に管理し、バランスの取れた食事と定期的な運動を心がけることで、糖尿病のリスクを減らすことができます。糖尿病が原因で白内障が急速に進行することがあるため、日々の健康管理が大切です。

 

生活環境の整備
白内障によって視力が低下した犬や猫のために、生活環境を整えることも重要です。家具の配置を頻繁に変えず、家の中に障害物がないようにすることで、愛犬や愛猫が安心して移動できる環境を提供できます。視力が落ちた犬や猫は新しい環境に慣れるのに時間がかかるため、なるべくストレスを感じさせないような生活環境の調整が必要です。

 

まとめ


白内障は犬や猫の視力に大きく影響を与える病気ですが、早期発見と適切な治療によってペットの生活の質を守ることができます。ペットの目の健康に日々気を配り、異常が見られた場合は早めに動物病院に相談することが重要です。

 

また当院では、眼科の特別外来を設けており、専門的な診断と治療を提供しております。愛犬や愛猫の目の健康を守るために、気になる症状があればいつでもご相談ください。
ペットが明るく元気に過ごすために、白内障の早期発見と治療を心がけ、視覚を守りましょう。

 

■眼科の関連する病気はこちらで解説しています
犬と猫の目の病気について〜最近目ヤニが多い、目が充血している〜

 

最後になりますが、

 

私たちが目指すのは、ただの「治療」ではありません。

 

あなたの大切な家族の一員である子供たち(愛犬、愛猫)が、健康で笑顔溢れる毎日を送るための「ケア」です。

 

人間医療の高い精度と専門性を動物医療に取り入れ、子供たち(愛犬、愛猫)にとって最良のケアを提供することをお約束します。
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何かお困りの点やご不明点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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