2024年09月13日更新
膀胱腫瘍の治療について
膀胱にできる腫瘍性疾患は移行上皮癌と呼ばれる悪性腫瘍が最も一般的です。
この腫瘍は進行が早く、転移が高率に起きるとされています。
しかし、中には手術と術後の治療で長期的な生存が可能な症例もあり、早期発見が治療のカギとなります。
膀胱腫瘍の症状は血尿や頻尿などの膀胱炎に似た症状を呈します。
よって腹部エコー検査や尿検査により膀胱炎との鑑別がとても重要です。
また膀胱にできるできものの中には良性のポリープや進行が緩慢な非浸潤性の移行上皮癌のこともあるため、確定診断にはCT検査や病理組織学的検査が必要です。
【症例1】
ポメラニアン 7歳 メス(避妊済)
主訴:血尿が止まらない、頻尿
エコー検査、CT検査にて膀胱内に腫瘤が認められた。
明らかな転移は認められなかったため、膀胱の2/3ほどを摘出した。
手術後は血尿や排尿障害は認めらず、経過は良好であった。
今後は再発がないかを定期的にチェックすることとなった。
診断:移行上皮癌
【症例2】
トイプードル 5歳6ヶ月 メス(避妊済)
主訴:血尿が止まらない
エコー検査、CT検査にて膀胱内にキノコ状のできものが認められた。
CT検査では明らかな転移が認められなかったため、手術を実施した。
術前にポリープ様膀胱炎を疑っていたため、ポリープと最小限の膀胱を摘出した。
術後は血尿や排尿障害もなく、再発も認められなかった。
診断:ポリープ状膀胱炎
文責/パピリーアニマルホスピタル 山本北斗