2024年06月30日更新
前十字靭帯損傷の治療について
前十字靭帯損傷は、わんちゃんの後肢跛行の原因となる強い痛みを伴う疾患です。
急に後ろ脚をあげたり、活発に動かなくなったりするなどの主訴で受診されます。
しかし、レントゲンや触診などの整形外科的検査をしっかり実施しなければ見過ごされることも多く、
慢性化した痛みに悩まされているわんちゃんもよく目にします。
ヒトでは、一般的にスポーツ外傷といった強い力が加わることで前十字靭帯損傷が引き起こされますが、
わんちゃんは運動時の外傷のほかに、日常生活の中でも前十字靭帯損傷が多く認められます。
これは年齢とともに前十字靭帯が変性することが原因と考えられており、
片側の前十字靭帯を損傷するとしばらくして、もう片側も同様に損傷してしまうケースも珍しくありません。
前十字靭帯損傷に対しての治療は様々な方法が考案されておりますが、
当院ではTPLOと関節外制動法という手術方法で対応しています。
【症例1】
雑種犬 14kg
主訴:急性の左後肢跛行
レントゲン検査にて左後肢(写真の右側)の筋肉量が減っており、脛骨前方変位と関節液の増加が認められた
診断:前十字靭帯断裂 内側半月板損傷
治療:TPLO
〈手術前〉
〈手術後〉
【症例2】
トイプードル 5kg
主訴:急性の左後肢跛行
レントゲン検査にて左膝の膝蓋骨脱臼と脛骨前方変位、関節液の増加が認められた
診断:膝蓋骨内方脱臼グレード3 前十字靭帯断裂
治療:関節外制動法、大腿骨滑車溝造溝術
〈手術前〉
〈手術後〉
【症例3】
ビーグル 10kg
主訴:数ヶ月前から歩きたがらなくなり、段差の上り下りもしなくなった
レントゲン検査にて両後肢の脛骨前方変位、関節液の増加が認められた
診断:両後肢の前十字靭帯断裂
治療:TPLO(右後肢を手術後2ヶ月後に左後肢を手術)
〈手術前〉
〈手術後〉
当院では、セカンドオピニオンも承っております。
CT/MRI検査、麻酔相談、手術の相談など気になることがございましたら
お気軽にお問合せくださいませ。
文責/パピリーアニマルホスピタル 山本北斗