2025年01月14日更新
動物病院が教える犬や猫の心臓病について〜早期発見のポイントと予防対策〜
愛犬・愛猫が健康で快適な生活を送るためには、心臓病の予防と早期発見がとても重要です。心臓病は命に関わる深刻な疾患ですが、早期に発見し、適切な治療を行うことで、その後も元気に生活を続けられる可能性が高まります。近年では、ペットの高齢化や生活習慣の変化により、心臓病のリスクが増加していると言われています。
しかし、「最近、咳が増えた」「運動を嫌がるようになった」などの些細な変化に気づいても、どのタイミングで動物病院を受診すればよいのか迷う飼い主様も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、犬や猫の心臓病の基礎知識から、早期発見のポイント、予防対策について詳しく解説します。
■目次
1.犬や猫の心臓病とは
2.症状と早期発見
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
犬や猫の心臓病とは
心臓病とは、心臓や心臓を取り巻く血管に何らかの異常が生じ、全身に十分な血液を送り出せなくなる状態を指します。加齢、遺伝、生活習慣など、さまざまな要因で発症しますが、いくつか代表的な病気があります。
〈代表的な心臓病〉
・僧帽弁閉鎖不全症
小型犬に多い心臓病で、僧帽弁が正常に閉じなくなり、血液が逆流してしまいます。進行すると肺に水が溜まり、呼吸困難を引き起こすことがあります。
犬の僧帽弁閉鎖不全症について詳しくはこちらをご覧ください
・心筋症(肥大型・拡張型・拘束型)
心筋症は、心臓の筋肉に異常が生じる病気で、肥大型、拡張型、拘束型の3種類に分類されます。
・肥大型心筋症:猫に多く見られる病気で、心臓の筋肉が厚くなることで心臓の機能が低下します。
・拡張型心筋症:心臓が拡大してポンプ機能が弱くなる病気で、主に犬に発症し、猫では非常に稀です。
・拘束型心筋症:心内膜が分厚くなったり、心内膜の下の筋肉が硬くなったりして、心臓がうまく広がらなくなる病気です。
いずれのタイプも、適切な治療を行わなければ呼吸困難や突然死のリスクが高まります。
・心不全
心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなった状態です。多くの心臓病が進行すると最終的に心不全に至ります。
・肺高血圧症
肺の血管に圧力がかかり、心臓に負担がかかる疾患です。
症状と早期発見
心臓病の症状は病気の種類や進行度によって異なりますが、次のようなサインが見られることがあります。
・咳(特に夜間や朝方に多い)
・呼吸が荒い(早い呼吸、胸やお腹を大きく動かして呼吸する)
・疲れやすい(散歩を嫌がる、途中で座り込む)
・食欲不振
・体重の変化
・お腹が膨らむ
日々の生活で、次のような変化が見られた場合は注意が必要です。
・散歩中に頻繁に立ち止まる
・階段を上るのを嫌がる
・遊びへの興味が薄れる
・長時間眠ることが増える
また、以下の症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診してください。
・舌や歯茎が青紫色になる(チアノーゼ)
・呼吸が非常に苦しそうで、鼻や口を開けている
・意識が朦朧としている、または失神する
心臓病は早期に症状が出にくいため、定期的な健康診断が欠かせません。聴診やレントゲン検査、心臓超音波検査(エコー)などを行うことで、早期発見が可能です。
診断方法
犬や猫の心臓病の診断は、詳細な検査を通じて行われます。
・聴診
獣医師が聴診器を使い、心雑音や異常な拍動の有無を確認します。特に僧帽弁閉鎖不全症では、この検査が初期の兆候を見つけるきっかけとなります。
・心臓超音波検査(エコー)
超音波で心臓の動きをリアルタイムで観察します。僧帽弁の状態や心筋の厚さ、血液の流れを確認する上で非常に重要な検査です。
・レントゲン検査
胸部のレントゲン撮影を行うことで、心臓の大きさや形、肺の状態を確認します。心臓が拡大している場合や肺に水が溜まっている場合に効果的です。
・血液検査
心臓に負担がかかっている際に上昇する特定の数値(BNP、NT-proBNPなど)や、腎臓や肝臓など他の臓器への影響を調べます。
治療方法
心臓病の治療は病気の種類や進行度に応じて異なります。
・薬物療法
ACE阻害薬や利尿剤、強心剤などを使用して心臓の負担を軽減し、病気の進行を遅らせます。
・食事療法
塩分を控えた特別な食事を提供することで、心臓への負担を減らします。また、体重管理が重要なため、カロリーコントロールも行います。
・外科的治療
僧帽弁閉鎖不全症など、一部の心臓病では手術が検討されることがあります。ただし、非常に高度な医療設備と専門技術が必要なため、日本では実施できる施設が限られています。
・定期的なモニタリング
治療の効果を確認し、状態を安定させるために、定期的な診察が欠かせません。特に薬の投与量や種類は、体調に応じて調整する必要があります。
予防法やご家庭での注意点
心臓病のリスクを減らし、健康を維持するために以下のポイントを心がけましょう。
・定期健診の受診
心臓病は早期には症状が目立たないため、定期健診がとても重要です。最低でも1年に1回は健康診断を受け、必要に応じて心臓超音波検査やレントゲン検査を受けましょう。
・体重管理
肥満は心臓病のリスクを高めるため、愛犬・愛猫の適正体重を維持することが重要です。食事の内容や量を見直し、獣医師の指導を受けることをお勧めします。
・日々の観察ポイント
咳や呼吸の異常、散歩中の疲れやすさ、食欲や活動量の変化などを見逃さないよう、愛犬・愛猫の様子を注意深く観察してください。
まとめ
心臓病は犬や猫にとって命に関わる重大な病気ですが、早期発見と適切な治療により、その影響を最小限に抑えることができます。定期的な健康診断、日常の観察を欠かさず行い、異変に気付いた際には早めに動物病院を受診してください。
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最後になりますが、
私たちが目指すのは、ただの「治療」ではありません。
あなたの大切な家族の一員である子供たち(愛犬、愛猫)が、健康で笑顔溢れる毎日を送るための「ケア」です。
人間医療の高い精度と専門性を動物医療に取り入れ、子供たち(愛犬、愛猫)にとって最良のケアを提供することをお約束します。
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